昨年の東京での会議に続く2回目の対面での全体会議として、韓国での全体会議が、8月20日と21日の2日間、ソウルにある東国大学の図書館のセミナールームで行われました。今回の会議では、各チームでの2巡目の交流授業・調査についての結果報告と、今後の検討課題について話しあわれました。
①日中チーム1の報告
一日目の午前中は日中チーム1による、今年度前期に中国と日本の大学の間で行われた、「大人になること」をめぐっての交流授業の報告でした。今回の交流授業では、Zoomのチャット機能とミーティング機能を用いて、学生たちによる自主的な交流が行われました。
②日中チーム2の報告
一日目、午後の1つの目の報告は、日中チーム2の報告で、日本と中国の大学の、幼児教育を専攻する学生に対して行われた、日中の幼稚園における砂場遊び場面のビデオを見て、それに対する考えかたをめぐる調査についての報告でした(課題1:ビデオ再生刺激法:Tobin, 1989)。今回の調査では、課題2・3して、課題1のビデオの内容を踏まえて、さらに保護者からの要望に対して日中の学生が具体的にどのように対応(返答)するのかについての調査も行われました。
③日中チーム3の報告
一日目の最後の報告は、日中チーム3の報告で、昨年度までに行われてきた、日本と中国のお金の貸し借りをめぐる葛藤の物語をロールプレイ形式で行う実践的な交流授業(対面で行う)を、テーマや物語の基本的なところはそのままで、今年度はさらにオンライン(Zoom)で実施した授業の報告が行われました。対面でのロールプレイに代わるオンラインでの交流の際の文脈化の手段として、導入部分で小説が用いられているのが印象的でした。
④日韓チームの報告
二日目の会議は、午前中は日韓チームの報告でした。日韓チームでは、①自己紹介 ②CRNの記事でも紹介された、2つのエピソードをめぐる考え方の交流 ③映画「そして父になる」を見て家族のあり方について交流 ④8月15日の日韓首脳・党の談話についての新聞記事を読んで、日韓交流のあり方をめぐる交流という4つのタイプ・テーマを組み合わせた交流実践が行われていました。
詳細な交流・調査の報告や結果・考察については、各チームからの今後の発表・論文化などをお待ちいただければと思いますが、全体的には、単に知的な理解や表面的な理解を越えた情動を含んだ深い理解や、共在的実践を含んだ異文化交流を、どのように教育の場で実施できるか、学生たちに体験させることができるか、ということをめぐって、理論的にも教育方法的にも、基盤となる部分が確認・共有できた会議だったと思います。
さらに3巡目の授業およびその後の研究では、今回の会議で報告されたこれらの研究の深化を確認・発展させるとともに、今回の科研で得られている成果を普及させていくための方策について考えていくことになります。
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